流行りもの


読了 

今年の直木賞受賞作品です。


特に好きでもないけれど、嫌われない作品だと思う。
愛すべきひとりの人物が登場して、各章それぞれの主人公がそれぞれ肩の荷をおろしていく。
よく言われているように、清涼剤、という言葉がぴったりだ。


こんなに簡単にすっかり何もかもが解決していけばいいと思うけれど、あまりそんなことを期待していない私には、なんだか安易に思えたり。
はっきりとした形が欲しい私は、物事は紀元前・紀元後でくっきり世界が変わると思いたくて、昨日まで青だと思っていたものが今日はピンクになっていた、みたいな感じで、悩みだったり恋だったりがきちんと解決したり始まったりして欲しいと思うのだけれど、
現実には、そういったことは梅雨のように始まって片付いていくことが多いと感じている。
考えてみるとあの頃もう梅雨が明けていたんだな、とか、何時の間にか色が変わっている紫陽花だとかと同じで。


私はきっかけがほしいんだろうか、それとも理由を求めているんだろうか。