書を持てよ、街へ出よう

グリーンピース


電車に乗ると本がどんどん読める。
私にとって外出=読書の機会なのです。


読了 「熱帯魚」(吉田修一)


パーク・ライフ」が好きで「最後の息子」を読み、これが彼の3冊目、私にとって。

彼の本が好きなのは、冷めていたり、取り繕っていたり、狡猾だったりすることに決して自己嫌悪を感じたりしてないようなところ。今までのことが急にばかばかしくなったり、自分が悪くても謝らないでいたり、そうした「筋の通ってなさ」が否定的でなく淡々と書かれているところ。
煩雑さの中で生きていくのに、誰でも多かれ少なかれそうしてるはずだと思うから。少し悪びれてほとんど悪びれずに。


収録されていた三篇の中で特に「グリーンピース」が良かった。

喧嘩した彼女が知り合いと寝てしまい、これからやっていけるのか、それとも別れたほうがいいのかぼんやりと考えている場面。

しかしそこで、僕は突然困ってしまった。
許さないと結論を出したのはいいが、人を許さないとは、どういう風にすればいいのか?その方法が、いくら考えても浮かんでこないのだ。人を許すということならこれまでも何度かやってきた気がする。それなのに、人を許さないと決めた時、何をどうすればいいのか、分からなかった。

浮気されたりして「許せない」と泣いたりするのは、実は「許さない」ことが思いのほか難しいことに直面するからなのかも。